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入試改革は高校教育を変えられるか?

Feb. 22, 2020 英語テスト

1月15日に萩生田文科大臣の肝いりでスタートした、入試のあり方に関する検討会議の議論を聞き、大学入試改革は従来型の高校教育を変えられる「てこ」になりえるのだろうか?改めて考えてみた。

検討会議の委員からは「入試が変われば高校教育が変わるという発想は思い込みだ」「高校と大学の教育をつなぐ入試改革の役割は一定程度ある」と、入試を教育改革の手段とすることを巡って賛否両論が出た。

全国公立高等学校長協会は「英語4技能は本来、入試レベルではなく高校の授業で扱っていくべきだ」と入試での改革に消極的なのに対し、日本私立中学高等学校連合会会長は「政府の教育再生実行会議の提言で英語4技能試験も決まってきた。この数年間我々私立高校の生徒は入試改革に向けて一生懸命準備してきている。その努力を白紙に戻すのか」と反発した。入試改革へ準備し前向きな私立高校と「4技能を教えられる教師が足りない」と後ろ向きな公立高校の格差は埋まりそうにない。

「てこ」にならないという意見の根拠には入試の構造変化もある。近年、私大ではAO・推薦入試組が入学者の約半数、国公立大学でも約2割を占め、一般入試を受けない受験生が増えている。こうした中で仮に大学入学共通テストに記述問題を導入しても、影響を受けるのは一部にすぎないのではないかという声もある。

一方で入試改革に期待する声も根強い「英語4技能化など授業改善に熱心な高校教員の追い風になる」「入試にも出題されるよ。と言えば生徒は勉強する」一理あるようだが、入試という外圧に頼る姿勢は裏を返せば学校不信、教師不信である。英語に関しては学校でも大手塾でも「英語教師自身が4技能の十分な能力を持っていない」いう厳しい現実がある。

国立大学協会の入試委員長を務める山口大学学長は「英語4技能や記述式が必要だという認識は変わらない。今後も各大学での活用について議論をしていきたい」と述べた。国立大学の間でも英語4技能化への意欲には温度差があるようですね。山口大学は見送り前は英語民間試験の成績を加点する積極派でした。

英語改革が見送られたことで、既にある教育環境の格差が拡がってしまわないか心配です。5割の高校生が受けるセンター試験を変えれば、教育現場の意識は底上げされ、格差拡大に一定の歯止めをかけることができた。今のままでは学力があるトップ20%の層と、残りの80%の層の知的分断が更に深まるでしょう。

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