最後のセンター試験で問題傾向に変化が!?
最後のセンター試験が約40年の歴史に幕を閉じたが、来年から始まる大学入学共通テストを意識した思考力を問う新傾向の出題が増え、大手予備校関係者は「戸惑った受験生もいただろう」とみている。例えば、数学では「複数の図を関連づけて解く問題が多かった」英語でも「過去問と違う傾向の問題が出て驚いた」という声が上がった。
大阪大豊中キャンパスで試験を終えた受験生からは「問題の傾向が変わった」という感想が聞かれた。医学部を目指す府立高校3年の男子生徒は「過去問とはタイプの異なる問題があり、来年から始まる大学入学共通テストを先取りしているのかと感じた。今年で絶対合格したい」と語った。別の府立高校の男子は「国語で会話文やイラストが使われていたのが意外で少し焦った」という。東大理科1類を志望しており「浪人すれば一から共通テストへの対策が必要になる。負担が大きいので今年で決めたい」と力を込めた。東大本郷キャンパスで受験した浪人生の男子も「来年から入試が変わるので、今回で進学を決めたい」と話した。
ベネッセと駿台が共催するデータネット実行委員会は「会話形式や高校生が調査した設定の問題など、学習場面を想像させる出題は共通テストの特徴の一つ」「共通テストは過去問がないので、対策に困る受験生もいるだろう。問われている内容と正解の根拠、原理や原則をしっかり理解することが重要だ」と指摘する。
河合塾のセンター試験予想平均点によると、リスニング・筆記合わせて英語で前年比7点、総合点でも文系型で21点、理系型で18点も前年比で下がっており、受験生の新傾向問題への苦戦が伝わってくる。読解力を要する問題や対話形式、身近なテーマからの出題、また図表など複数の資料から情報を読み取り考察する思考力問題が出題される来年度の共通テストでも各科目かなり平均点が下がることが予想されます。
センター国語現代文の第1問で以前、塾生に教養授業で紹介したレジリエンス(Resilience)という言葉に関する論説文が出題されました。レジリエンスは生態学的な文脈では「環境の変化に対して動的に応じていく適応能力」という概念で使われます。生徒さんにも思考力試験へと変革を遂げる共通テストへ適応し、志望大学合格という目標を達成してもらいたいと願っています。